ただのにっき
2008-07-31(木) [長年日記]
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黎明の星 上 (創元SF文庫 ホ 1-25)(ジェイムズ・P. ホーガン)
予想通りのハズれっぷりというか、いや、いちおう前作『揺籃の星』の時は続編に期待してたんだけど、まぁ、こういう予感はあったわなぁ。
2つの話が軸になっていて(困ったことにほとんど交わらないんだけど)、ひとつは『揺籃の星』からベースになっている「地球型惑星は巨大ガス惑星から生まれた」というトンデモ仮説をさらに展開、ID(インテリジェントデザイン)まで動員してトンデモ度をさらに盛り上げる。登場する証拠がいちいちストーリー上都合のいいものなのでちょっとしらけるけど、まぁこれは「視野を広く保て」という現代科学への警鐘かもしれない。ちょうどessaさんのブログでソシオロジーの話を読んだのでつながりが面白かった。
もう一方の軸は、ホーガンが大好きな社会SFのバリエーションで、能力と信頼を経済のベースに置くクロニア社会と、旧来の地球型社会の対立。クロニア社会はもう、あからさまに「理想的に運営されているオープンソースコミュニティ」そのもので、もちろん理想的な状況などありえないのでたやすく地球側に付け込まれる。最終的にはクロニア側も手を汚さないと次の一歩を踏み出せないので……って、あれ? ホーガンも現実に目覚めたか。
SFとしてはイマイチだけど、寓話としてはけっこういい話だったのかも?(←だまされてるっぽい)