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ただのにっき

2008-04-14(月) [長年日記]

クジラの彼(有川 浩)

このまま一気に全部読んじゃうよー。

空の中』の後日談1本、『海の底』からのスピンアウトというか後日談2本を含む、全編「自衛隊員の恋愛ネタ」で占められた短編集。なので、どういうことになるか想像がつくと思うが、劇甘である。だがそれがいい*1。『塩の街』の後日談は単行本後半に入ってるから、これで自衛隊シリーズはとりあえず終結か?

こないだ『空の中』を読んだばかりなので、「ファイターパイロットの君」が一番いいかな。もうグニャグニャ。下ネタ満載の「ロールアウト」はコミカルで楽しい上に、タイトルが秀逸すぎる(気がする……けど深読みしすぎか)。

有川浩の恋愛小説をどうして受け入れられるのか考えているんだが、どうも男の妄想を上手に実装してるからではないかと思った。たとえば、登場する女性は基本的にすべて美女だが(少なくとも「平均以上」として描かれる)、男性に関しては容姿の描写がほとんどない。女は自分よりもかわいい女が出てくる話を喜んで読めるかも知れないが、男は自分よりいい男がいいメを見る話には素直に感情移入できない動物だ(たぶん)。

女性視点で相手がどんなにいい男か描写することはほとんどないので(逆はたっぷりある)、ある程度はリアリティをもって自分のことのように読める。もちろん登場する男はほとんど自衛官なので、マッチョな面ではかなわないわけだけど、「設定だからしょうがない」と割り切れる部分だし。

こういう「手加減」を、狙ってやってるんだとしたらたいしたもんだと思うけど、もし素でやってるんだとしたら、有川浩って中身は男だよなぁ。

クジラの彼
有川 浩
角川書店
¥21

空の中
有川 浩
メディアワークス
¥1,760

9784840230926

塩の街
有川 浩
メディアワークス
¥275

Tags: book

*1 なので『空の中』と『海の底』は読んでおいた方がいい。「独立してるから単品でも楽しめます」なんて営業トークは言わない。