2007-12-17(月) [長年日記]
■ キルン・ピープル 上 (ハヤカワ文庫 SF フ 4-19)(デイヴィッド・ブリン)
本当は夏にブリンが来日している間に読んでおいて、本人にツッコミを入れたりすべきところだったんだけど、遅れに遅れてもう12月である。日々積読が増える今日このごろ。
身も蓋もないまとめ方をすると、日本人にはおなじみの「パーマンのコピーロボット」が本当に商品化されたら……という話。コピーの生成や記憶の統合について、かなり真面目に描きこんであるので、パーマンをネタにいろいろ妄想したことのある人には掛け値なしで面白いと思う。
体裁は、主人公を探偵にして、本人とコピーが入り乱れるちょっとドタバタっぽいミステリタッチの作品。ちょっとアシモフっぽい。ブリンにしては軽い*1ので、相変わらずのストーリー展開でぐいぐい読ませる上質のエンターテイメント。楽しかった。
終盤、どんどんオカルトっぽい方向に話が進んでしまい、「これじゃ『幼年期の終わり』だよ」と心配していたんだが*2、最終的にはちょっといい話に落ち着いて、ほっとした。まぁ、あそこでオカルト方面に走った方が、最近のSFファンにはウケたかも知れないけどな。
とはいえ、やはり近年のSFでの流行であるアイデンティティ物として読めば、いろいろ考えさせられることも。……でもまぁ、楽しんで読めばいいんじゃね?