2007-11-13(火) [長年日記]
■ ウィキノミクス(ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ)
遅ればせながら読んでみた。ちなみにWikiPediaの話題は出てくるが、Wikiの本ではない。
で、率直に言って「胡散臭い」。
「これからは、企業は自分の資産をどんどんオープンにして、社外のコミュニティを上手に使って新しい価値の創造とコストダウンをしないと生き残れないよ〜」って、ようするにWeb2.0啓蒙系の本なんだけど。自分もそういう流れの渦中にいる身だし、そういう世の中はエキサイティングで面白そうだし、どんどんやって欲しいと思うけどさ。
でもそういう流れって、実際のところ死屍累々じゃん? それこそ、なんでNetscape社の話が出てこないの? まっさきに自社のコア技術をオープンソースにしたものの、Mozillaプロジェクトは存続したけど会社はお粗末な状況じゃないか。
こういう、マイナス面を扱わないバランスの崩れた本って良くないと思う。実際はオープン化しなくても生き残れる(というかクローズドの方が上手くいく)企業だってあると思うし。オープン化ってある意味「劇薬」なのに、さも簡単に扱えるように煽るだけ煽って、無責任じゃね?
Netscapeはオープンにする前にすでに完全敗北していたので反例にはならないと思います。シェアがまだ大きいうちにやってればよかったのに。
うーん、過ぎたことなので「もしも」の話になっちゃいますけど、もっと早くオープンにしていたとしても、Netscapeがブラウザから収益を上げられるようになっていたとは思えないなぁ。