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ただのにっき

2006-11-10(金) [長年日記]

Lingr.comを使ってみたよ

結城さんがチャットをするというので、初めてLingr.comに入ってみた。Ajaxを使ったWebチャット?

手軽なのはいいけど、なんだか重くて、Sleipnirで入ってると数秒おきにCPUが100%食われてしまい、ぜんぜん仕事にならない。そもそもブラウザは(特にタブブラウザは)サイズを小さくしたくないアプリなので、バックグラウンドに回して他の作業ができない。ながらチャットには向かないよのぅ。

それはそうと、トップページのタグクラウドが笑えた。どんだけ日本人が多いんだよ!

完全な真空 (文学の冒険シリーズ)(スタニスワフ・レム)

ハヤカワが出してる一連の<シンギュラリティ>小説を読んで、その特異点後の世界描写があまりにお粗末なのでガックリきてしまい、「あぁ、レムだったらなぁ」とか思っちゃったわけよ。とうぜん『砂漠の惑星』や『エデン』が念頭にあるわけだが。ちなみに『ソラリス』は未読(えぇー!?)。

で、なんだか無性にレムを読みたくなってしまい、ウィッシュリストから2冊ほど購入。読むのに時間がかかるから、長く楽しめていいなぁ、レムは。

有名な本なので、書評めいたことを書くまでもないだろう。架空の本に関する書評だけを集めたという設定の本。冒頭から本書に関するメタ書評で始まるところが人を食ってるし、なによりもこれまで読んだ本書に関する(本物の)どんな書評よりも良い書評になってるところがさすが。巻末には解説の代わりに日本語版に対する書評が載っているが、ぜんぜん解説から抜け出せていないところが、日本人の「遊びに徹しきれない民族性」を表現している……んだとしたらたいしたものだけど、違うだろうな。

最後の「新しい宇宙創造説」が評判どおりすばらしく、もう、抱腹絶倒である。これだけのために買ってもいいくらい面白い。


もし読書の楽しさを「面白い/面白くない」と「理解できる/理解できない」の2軸で表現するとして。つまりこう:

面白い面白くない
理解できる(1)(2)
理解できない(3)(4)

最初は(4)だった本を(1)まで引き上げる能動的な読書体験にはたまらないものがあるし、最初から(1)にある本をひたすら享受する受動的読書もまた楽しいものだ。最悪なのは(2)で、こういうのは「時間の無駄」というものだから、うっかりそういう本に出会ってしまうと本当にガッカリする。

で、レムという作家は、自分の貧弱な読書体験からすると(3)に位置する唯一の作家だ。理解できない、けど面白い。さっき「抱腹絶倒」って言ってたやんけ! とツッコむなかれ。たしかにストーリーは追えるし、レムらしい皮肉にニヤリとしたりはできるんだが、一歩踏み込もうと思ったら、底なしの知性と教養を要求されてしまう。怖い。実に怖い。でも読んじゃう。何度読んでも理解できそうにないけど、読んでしまう。そんな魅力がレム作品にはあると思う。

Tags: book