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ただのにっき

2004-11-03(水) [長年日記]

NHKスペシャル「光琳 解き明かされた国宝の謎」

会社に行くので(文化の日なのに!)ちゃんと朝に起きたら、NHKスペシャルをやっていた。光琳の「紅白梅図屏風」を科学的に研究する話で、8月の番組の再放送である。この話には以前から興味があったので、思わず出社を遅らせて見入ってしまった。

番組では、金箔でなく金泥を使った理由は梅の木をうまく描くためで、そこが光琳のテクニックであるかのような結論(?)だったが、だったら別にあそこまで金箔らしく見せかける必要なんてないわけで。おれはなんとなく、光琳のおたくっぽいこだわりを感じたね。あれを発表したときの光琳の心境を想像するに、例えば、2ちゃんにネタを投下して、次々と釣られる人々をニヤニヤしながら見ているみたいな感じ。いや、そういうスタンス、けっこう好きだけどね。

バグがないプログラムのつくり方 JavaとEclipseで学ぶTDDテスト駆動開発 (Be agile!)(川端 光義)

TDDやXP関連書籍つーと、翻訳が悪かったり翻訳が悪かったり翻訳が悪かったりするばかりで、なかなか良書がないというイメージだったんだが、これは日本人著者による、気軽に読めてわかりやすい、TDD入門にはうってつけの本だと思う。ほどよい規模の例題や、理論と実践の量のバランスなど、けっこう計算して書かれている気がする。実践抜きだと半日で読めちゃう軽さもいい。表紙デザインと値段からは、とてもそうは思えないんだけど!

ただねぇ……これだけじゃ、やっぱりまだ、上司を説得する材料には足らないんだよなぁ。品質が従来開発手法に比べて良いことを証明するのは、TDD導入最大の難関だよ。品質はレビュー時間やバグ数を測定することでしか測れないと信じてる連中を、どうやって納得させればいいのやら。

あと、「メモリ不足のルートはどうテストするの?」とか「マルチスレッドや非同期のテストはどうする」とか、TDDを始めてわりとすぐにぶちあたる難関にどう対処するのか書いて欲しかった。どちらも、問題は単純なのに、あまりいい解法を読んだことがないので。

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夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)(こうの 史代)

かみさんが買ってくる4コマ雑誌で、最近ちょくちょく見かける作家がいて、気になっていた。へなへなした線だけど、目の表情のわずかな違いを上手に描き分ける、マンガ系画力のずいぶん高い人だ。こうの史代という。

ネタは飼っているインコの話なので、まぁ、そこらのペットマンガに比べるとずいぶん毒や皮肉が効いているものの、基本的には癒し系。疲れている今の気分にはいいかと思って単行本を探したら、先月最新刊が出ている。それも、ネット上の評価がきわめて高い。

高いんだけど……ネタがヒロシマだという。

別に、戦争モノを避けて通っているわけでもないんだが、ちょっと今の気分には合わないし、そもそもおれは、こうの史代にそういう話を求めていない(インコの話の単行本も出てるけどね)。まぁ、あまり本屋に置いてない本らしいし、積極的に探さない限り見つからないだろうと思っていたら、ふらりと入った文教堂で見かけてしまった。うぅ……。たかだか800円の本を買うのに、こんなに逡巡したのは初めてだ。つーか、薄っぺらいのにずいぶん高いな!

で、買ってしまったわけですが。

傑作だ! 買え! 読め!!

今はそれ以上言えない。軽々しく感想を書けるような本ではないが、値段の10倍の価値がある。必読。

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