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ただのにっき

2004-10-27(水) [長年日記]

インタビューとか

今月頭に受けたインタビューが、今出ている日経ソフトウェアにもう載ってる。すでにあちこちで話題になっているようで、けっこうみんな読んでるんだなぁ……と思ったが、まつもとさんのコラム(?)も載ってるんだよね。だからか。ちなみに写真を撮った場所は、新宿駅東口。インタビューは談話室滝沢というお決まりのコースだったので。

来月はまた別のインタビューがあるのであった。こう忙しいと、こんな息抜きがときどきあるのはいい。自分で書くのはキツいけど。……というわけで、Tech総研の今月分も、無事に公開されたようだ。ちゃんと〆切は守っているものの、気分的には毎月毎月綱渡り状態なので、すげースリリングだったりする。そもそもアンテナが稼動してない現状では、ネタ集めもままならん。はやく復旧しなくては。

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)(城 繁幸)

ベストセラーは買わない主義なんだが、隣の人が買ったというので借りて読んだ。

著者はまだ若いようだし、富士通を辞めてからそんなに時間がたっていないようなので、正直、視野は狭い。辛辣な告発に見えるが、裏を返せばただの愚痴でもある。つまり、ここに書かれているのは著者の「脳内富士通」である可能性が高いので、読者はそのことを常に念頭に置いて読むべきだろう。……とは言いつつも、かなり本当のことなんだろうな、たぶん。

とはいえ、日ごろからエンジニアのキャリアパスについて憂えている身としては、終盤の「提言」には(荒削りな点が目につくものの)賛同できるところが多い。日本をこの先も技術で成り立たせるためには、エンジニアをいかにうまく使うか、真剣に考えないとダメだよ。


それはそれとして、この本の評に必ずついてまわる「謎の英単語」、聞きしに勝るひどいものですな! これ、この本だけじゃなくて、光文社ペーパーバックの方針らしい。いわく、

  1. ジャケットと帯がありません
  2. 本文の紙は再生紙を使っています
  3. 本文はすべてヨコ組です
  4. 英語(あるいは他の外国語)混じりの4重表記

だそうだ。最初の3つはいいとしても、4番はもう、気が狂っているとしか思えない。なんたって、説明書きがこうである。

これまでの日本語は世界でも類を見ない「3重表記」(ひらがな、カタカナ、漢字)の言葉でした。この特性を生かして、本書は、英語(あるいは他の外国語)をそのまま取り入れた「4重表記」で書かれています。これは、いわば日本語表記の未来型です。

これだけ読むと、外来語を正しい英単語で置き換えているのかと思うが、実態は日本語の「あとに」同じ意味の英単語やイディオムが並べて書いてあるだけである。音読すると文章としてまったく意味が通じない。昔、同じ意味の日本語と英語を同時にしゃべる「バイリンガルな人」をネタにしたマンガを読んだことがあるが(とり・みきだっけ?)、あんな感じ。

おまけに、ちょっと見慣れない単語にはカタカナでルビがふってある(笑)という、もはや当初の目的がどこにあったのか想像もつかないアリサマ。腰が抜けたよ。そんなのが1ページに10数箇所あるから、全体ではかなりの量になる。ページ数を稼いで価格を上げるのが真の目的なんじゃないか。

こんなアイデアを悦になって使っている編集者はどうしょうもない阿呆だし、こんなところから出版せざるをえなかった著者はもう、気の毒としかいいようがない。

Tags: book