ただのにっき
2004-02-10(火) [長年日記]
■
欺術(ぎじゅつ)―史上最強のハッカーが明かす禁断の技法(ケビン・ミトニック)
やっと読んだ。
実に単純な手口に、次々とひっかかっていく人々の話を読んでいると、いかに人が「他人を信用したがる生物であるか」ということ思い至る。ここまで単純だと(もちろん自分を含めて)、むしろ騙される側の人々がいとおしくなって気さえする。これはつまり、人間が社会的動物であるがゆえに逃れられない本能なのかもしれない。
だとすると、騙す側はいわば捕食者であり、騙される側とはある意味で別の生物だ。これを生存競争と捉えれば、騙される側は次なる進化をしなければならない。本書にはそのためのアドバイスもたくさん書かれているのだが、果たしてこの要求をすべて満たせる「騙される側」がどれだけいることか。ていうか、無理。
ところで岩谷弘岩谷宏・訳ということで、(怖いもの見たさで)ついつい訳者あとがきから最初に読んでしまうわけですよ、なぜか。
今日なお後を絶たないウィルス事件などは、コンピュータとネットワークの今日の姿の、根本的な欠陥を指摘していると思います。それについては、どこかで詳しく述べる機会があるでしょう。
それだけは勘弁してくれって思った。
■ 「お返しTrackBack」はやめよう(5)
すでに議論の時期は過ぎて(基本的に反対意見はほとんどなかったと認識している)、あとは地道な啓蒙活動をするだけと思っているんだが、辺境から戯れ言に続きが書かれていたので、少し補足しておく。
どうも、「やめて」でなく「やめよう」と書いたことに反応するあまり、その先に進んでいないように見える。ちゃんと全文を読んで欲しい。
「お返しTrackBack」の問題点としてあげたうち、この主張がTrackBackという仕掛けが目指す「正しさ」を理由にしているのは2点目だけだ。4点あげたうち後半の2点は、「あなたのサイトを訪れる人をがっかりさせていることに気づいていますか?」という問いかけである。つまり、「お返し」を「正しい」と信じている人を改宗させるのが目的ではなく、その弊害に気づいていない人は気づいて欲しいと言っている。優先順位はこちらが上だからである。
反応リンク集を読めばわかる通り、「お返しTrackBack」をしている人のほとんどが、この問題に気づいていなかった。昨今のブームにのって始めた人たちは、サイト間コミュニケーションに魅力を感じてウェブログを書いていることが多い。にもかかわらず、大切な読者を「がっかり」させていることを知らずに「お返し」をしていたら、実に不幸なことだろう。「啓蒙」と言っているのはそういう人たちをターゲットにしているからだ。「不幸」は少ないに越したことはない。
TrackBackというプロトコルの「秘めた可能性」までは否定していない。その証拠に、Friday 5における特異な使い方は許容しているし、さらなる新しい使い方が出てきたら面白いと思う。ただし、自分のエントリで言及したことを伝えるためにTrackBackを使うという文脈の延長で「お返し」をすると、おかしなことになる、そのことだけを論点にしているのだから、荒川さんの主張は(少なくとも「お返しTrackBackはやめよう」の文脈からは)ピントがずれていると言わざるを得ない。
■ tDiary: ツッコミ/リンク元フィルタ
-develの配信がまた遅れてるなぁ。
懸案だったツッコミ/リンク元フィルタを実装。本当はこないだの岡山出張の車内で書けてたんだけど、面倒でマージしてなかった。それまで一度も走らせなかったのに、1回エラーが出ただけですんなり動いた。こんな日もある。
ツッコミやリンク元を記録する前に、それらを拒否できるフィルタを好きなだけ追加できるような仕掛けにした。これでコメントspamやreferer spamへの対応策が作れるだろう(たぶん)。
というわけで今日のcommitは熱め。その証拠に、この日記もまだ昨日のまま(バキ