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ただのにっき

2000-06-05(月) バリ旅行(3) [長年日記]

08:00

7:00に起きるはずだったのに、寝坊してこんな時間。にもかかわらず、かみさんがのんびりストレッチなんてしてるもんだから、朝食を食べ終ったのがガイドとの待ち合わせ予定の9:30。どうして女って生き物は先を読むってことができないのかね。Bali Heatのガイドは若干25歳のアリンバワ君。決っして日本語は上手ではないが、これだけ話せれば立派なもんだ。こっちは20年近く英語を勉強してるけど、もっと下手だもんな。

10:00

ガイドとは別に運転手までついて、丸1日のツアーが2人で1万円。安いねぇ。最初はUbudから20分くらいのところにあるGoa Gajaという遺跡。入り口でサロンを借りて入る。洞窟の中に神様が祭ってあるという、8世紀ごろの遺跡である。けっこう歴史があります、Bali島。ま、Java島には原人がいたくらいだしな。

何かの入口になってるところにはかならず両側に魔除けの像が立っているんだけど、残念ながらこま犬との共通点はなし。つーか、インドをルーツにしてそれぞれ独自の進化を遂げたいとこって感じかな。いとこってとこだろうか。

12:00

続いてはBali信仰の総本山、Pura Besakih。田舎道というか山道をかなり走る。日本では林道へのアプローチルート級の狭い道。路面も悪い。ガイド持参のサルンを腰に巻いて(ここで借りると有料なので)寺院の中へ。といっても観光客は中に入れてもらえないので、周囲を回るだけ。ガイドブックには長い参道を登らなきゃならないと書いてあるけど、別にたいたことないぞ? 神社の参道で慣れちゃってるからか?(笑)。11世紀ごろから次々と寺が集まり、大きな寺院になったとのこと。並み居る石像の数々は妖しさ爆発である。一番てっぺんには眺めのいい場所があって、妙な風車がカタカタと音をたてている……と言いたいところだが、あいにく今日は風がない。アリンバワ君がミネラルウォーターを買ってくれる。寺院の出口の売店ではBaliフルーツを買ってくれるし、なかなか気が利くぞ、アリンバワ。

ところでデジカメがいかれた。つーか、メモリが飛んだくさい。何の前触れもなく「reformat?」とか聞いてくんなーっ >SANYO DSC-X110 自宅で復旧できる可能性に賭けて、予備の8MBメモリに入れ替え。昨日撮った音入りLegongがパァだ。しくしく。この32MBスマートメディア、Rioに入れてる時も、しばしば読み込みできなくなったりするしなぁ。16MBあたりのを買い足すか。

13:30

Kinamaniで湖と山を見ながらランチ。物売りであふれるビューポイントを微妙に外したレストランの客は白人率高し。でもバイキング形式ながら、なかなか旨い。眺めも雄大でいいですな。Bali観光の基本は「物売りからいかに逃げるか」と「日本人の行く店は高い」なので、Bali Heatの選択はなかなかいいところをついている。オススメである。

14:30

おれがサロンを欲しがっているので、途中にあったバティックを作っている村に寄る(名前失念)。店は観光客向けでけっこう大きく、売り子も日本語を話すのでちょっと引いたけど、品ぞろえも良くて、そんなに悪くなかった。3枚ほど、気にいったサロンをGET。

15:00

Tirta Empl。聖なる水の湧く寺。ま、日本で言えば清水寺か(違うって……)。それより忍野八海か柿田川ってところか。水が吹き出したり流れたりしているせいか、空気が爽やか。

15:30

Tegala Lang。急な斜面に棚田が作ってあるという。って、それだけで観光地にしちゃうのかよー。いや、もちろんそれだけじゃないから、なかなかよい風景なんだけどね。それにしても、二毛作、三毛作が当たり前の世界では、稲穂が首を垂れてる田んぼの横で田植えしてたりするんだもんなぁ。

16:00

Ubudに戻って市場で買い物。初めてUbudの町中に出てきたゾ。市場は二階建てで、とにかく小さい店がたくさん並んでいる。サロンを買ってすっかりBalineze化計画に夢中なおれは、もうひとつのBaliファッションであるウダンを入手。男性が頭に巻く三角巾である。あれは一枚の布を使ってるんだと思ってたけど、実はすでに畳んだ状態で縫い合わせてあったのだ。二重に巻き付けて頭の前で縛るだけでいいものだったとは。元はただの布切れだったんだろうな。なんか、最初から結んであるネクタイみたい。

それにしても、ことあるごとに店員が「かわいい」を連発するのにはまいった。ったく、外国に来てまで貧困なボキャブラリをまき散らすんじゃないっつーの。ちなみに「菩提樹」「供物」「丁子」。これ、アリンバワ君が嘆く「日本人に通じなかった日本語ベスト3」である。嘆かわしや。かと言って「三ちゃん農業」とか「もうかりまっか」「ぼちぼちでんな」なんて言葉を教えてはいけません(っておれのことか)。

16:30

このあと、Ubudの近くにあるArma美術館へ。Ubud周辺にはBaliアートを集めた美術館がいくつもあるけど、ここが一番のオススメという知人の言葉に従って来てみた。噂にたがわず、強烈なBaliアートの数々にクラクラ。超細密画もいいけど、一番気にいったのは「水泳の練習」という妙な味の絵だった。持って帰りたいくらいだぜ(って買えないくらい高いと思うけどな)。

18:30

Kecakを見るために車で30分ほど離れた村へ。今夜はUbudでもKecakが見られるそうだけどあまりよくないらしいので、アリンバワ君の勧めによってここまで来たのだ。寺院の前に石の舞台がしつらえてあり、その前に300席くらいのベンチが並べてある。あとはなにも言うまい。網膜に焼きつけるのが忙しすぎて、写真を撮ってる暇がなかったとだけ書いておく。残念だったのは、フラッシュ焚きまくりでろくに鑑賞していないアホな白人が邪魔だったことか。今度は松明の明かりだけで見てみたいものだ。

それにしても、Baliと日本の文化は驚くほど似ている。どちらもアニミズムをベースにした宗教を持ち、自然に対する姿勢も近い。そういえば、音階も近いそうだ。そのせい(?)か、Legongの笛(尺八にそっくり)と唄はまるで日本の民謡だし、Kecakの語りは浪曲を聴いているかのようだった。Baliにいると妙に落ち着いてしまうのはそのせいかも知れない。

両国の国民の最大の違いは、その信仰心だろう。「神秘の島」なんて呼ばれることの多いBaliだが、日本にだって同じくらいの神秘性を持つだけの下地はあるのだ(国内各地の神社をまわっているとつくづくそう思うよ)。みずからの神秘性を放棄しておきながら、他国にそれを求めるなんて、虫のいい話だねぇ。

21:00

夕飯もどこか外で、という計画だったけど、さすがに疲れたのでホテルに帰してもらった。こんな遅くまで引きずり回して、すまんかったね、アリンバワ君。運転手も丁寧(だけど速い)し、Bali Heatはオススメである。ルームサービスで軽く食べて、あとは寝るだけ。