ただのにっき
2013-11-13(水) [長年日記]
■ 映画「サカサマのパテマ」を観てきた
予告編を観ていたらVLAっぽいパラボラアンテナ群がチラッと映ったので、これは見に行かねばならぬと思って観てきた。いや本編でもチラッとしか出てこなかったけど。VLAでもなかったけど(むしろALMAっぽい)。でもまぁ、主人公パテマのCVが藤井ゆきよで、コスチュームデザインが杏仁豆腐とあれば行くしかないよね(とさりげなくアイマスにフック)。
最初、設定を読んだとき思い浮かんだのは小林泰三の「天獄と地国」なんだけど、あっちは全員サカサマで力学的な計算もきっちりしてるのに対して(たぶん。実は未読)、こっちは一部の人たちだけがサカサマということはどう考えてもヒッグス場に対する挑戦であり、まさに2013年の作品にふさわしい*1。……という話は特になされないのでまぁファンタジーですな。設定を活かしたカメラワーク、とくに視点の切り替えで何度もカメラが180度回転するのは、混乱に拍車がかかって面白かった。
ラピュタの「空から女の子が落ちてくる」をひっくり返して「地の底から女の子が浮き上がってくる」という発想から始まったに違いないと思わなくもないけど(男の子にしなかったのは正解だ)、プロットもラピュタと同様ボーイ・ミーツ・ガールで、しかも二人を隔てる壁は厳格な物理法則なわけでロミオとジュリエットの比ではない。王道だねぇ。ジュブナイルはこうでなくちゃいけねぇ。最近こういうのに弱いんだ、おれ。
とはいえシナリオには穴も多い。ラストの大ネタは途中で割れるし、脇役にはまったくスポットが当たらない、特に敵役の動機が掘り下げられてない。ラスト○○の周囲に××が回ってるの変だよね? とか、ざっくり暗算してみて「あれ、パテマたちって何度か肉塊になっててもおかしくね?」と重力加速度を甘くみてる風なシーンも少なくないけど、どれも原因は予算不足に行き着きそうなので何も言うまい(←言ってる)。まぁそういう些細なことは王道プロットの前に消え去るのだよ。楽しかった。
*1 未来の自分へのメモ: 2013年のノーベル物理学賞はヒッグス粒子の発見。