ただのにっき
2010-09-17(金) [長年日記]
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小惑星探査機 はやぶさの大冒険(山根 一眞)
電車で泣きながら読んでるおれキモス!
はやぶさの華々しい帰還からはや数カ月。もうそろそろ感傷的な気分からは抜け出せただろうと思っていたけど、ダメだったねー。あえてカプセルの見物にも出かけてないんだけどなぁ。
それはそれとして。ノンフィクションライターの山根一眞が、「はやぶさ」関係者へのインタビューを交えながら、内之浦での打ち上げからウーメラ砂漠への帰還までを時系列でまとめた本。重要なイベントではきちんと現地で取材をしているから、ブームに乗って慌てて伝聞をまとめたような薄っぺらさはないし、「中学生にもわかるように」という編集者の注文にきちんと応えているから非常に読みやすく、理解しやすい。
ずっと「はやぶさ」を追いかけていたマニアにはちょっと物足りないとは思うけど、この厚さで省略もなくきちんと事実を伝えているのは素晴らしい。ネットや新聞で断片的な情報にしか接していないにわかファンのみなさんにはぜひ読んでもらいたい。良書です。
……と、ここで締められてばいいのだけど、はやぶさ単行本はこれから続々と出る予感。なによりも近刊の大注目は「あの」的川泰宣さんで、単行本と新書の二冊が予約受付中。新書は薄いだろうけど、単行本は読まなくてもわかる傑作(たぶん)。あと、「のぞみ」本の松浦晋也さんも、間違いなく執筆中だろうし、緻密な取材と科学知識に基づくこっちはきっとマニアも満足できる作品になるだろう(「恐るべき旅路」は、「はやぶさ」のベースになる技術やISASそのものがよくわかるので、はやぶさファン必携だ)。
いやぁ、カプセルの中身の分析もこれからだし、まだまだ楽しみは続きますなぁ。
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