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ただのにっき

2010-03-12(金) [長年日記]

Suicaロッカーのずさんなサポート体制に唖然とした日

自分は、電子マネーといえばPASMO一本で、通勤定期や小額決済用途に日常的にもかなり便利に使っている。今日は荷物が多かったけど朝から出先に向かわなくてはいけなかったので、蒲田駅でSuicaロッカーを利用した。コインロッカーのSuica版である。支払いと認証をSuica 1枚でこなせるので、利便性はたいへん高い。

ところが、これがなかなかひどいシロモノだと知るのは、ひと仕事終わって荷物を取り出そうとした時だ。

タッチパネルで荷物の取り出しに触れたあと、カードでタッチすれば自分のロッカーの鍵が解除される……はずが、エラーになってしまった。どうも反応が鈍いので、二度タッチしたのがいけなかったような気がする。ディスプレイには電話番号が表示され、ここに連絡しろとある(これがフリーダイヤルではない03始まりの番号なのがまず気にさわる)。慌ててiPhoneを取り出し、電話をしようと思ったら、すぐに表示が消えてしまった。ええーっ、ちょっと待ってよ! 何も操作しないのに連絡先が消えるとか、ありえんわー。

ディスプレイはもとのメニューに戻ってしまったので、もういっぺん解錠にトライしてみたところ、またエラー。今度は「電話しろ」ではなく、カードIDが違うとかなんとか、そんなメッセージ。こりゃもう、完全におかしくなってるな。

で、連絡先はおそらく、預けたときにもらったレシートにも書いてあるだろうと思い、見てみたらたしかに同じような番号が書いてあった。ほっとして電話をすると(さぁ、ここから信じられない出来事が立て続けに起きますよ!):

(ひとしきりどんなトラブルが起きたのか聞かれたあと)「これから東京駅を出るので、待っていて下さい」
「えっ? 東京から来るの?」
「はい、30分くらいかかるので、そこでお待ちください」
「30分待てと」
「はい。電話番号を教えて下さい」

しょうがないので、駅ビルで立ち読みしながら時間をつぶす。携帯持ってない人だったらどうする気だろう。もしくは30分も時間がない人とか。

ちょうど30分ほどしてからロッカーの前に向かうと電話が鳴り、サポート担当がロッカーの前についたから落ちあってくれと言う。本人じゃなくてオペレーションセンターからみたい。たしかに、作業服姿、白髪頭のおっちゃんがロッカー前にたたずんでいるので、声をかける。

まずはエラーが出ることを実演してみせて、レシートを提示。そこに印字されているカード番号(一部)と合っていることを確認してもらう。あとはもう、ドアを開けてもらって、荷物を取り出すだけだと思うっしょ?

サポート氏がなにやら秘密の操作をすると、ディスプレイがメンテモードらしきメニューを出す。いくつか操作をすると解錠用の画面になり、問題のロッカー番号が出ている。それを選んで「解錠処理」を押すと……なんとエラー。「もう一度操作しろ」というダイアログボックスが出る。

サポート氏は促されるままにもう一度おなじ操作をするが、エラーも同じ。なんどやっても同じエラー。操作しながら「すみません、ちょっと時間がかかります」とか言ってるけど、いちソフトウェア技術者視点から見ると、待てば直る状況じゃないと思うよー、それ。

同じことを、かれこれ2、30回繰り返しただろうか。背後で待ってるおれも、さすがにしびれが切れてきた。個々のロッカーついている鍵穴のようなものを指さして「もう待ってらんないからさ、とっとと開けてよ」。

ひょっとすると末端のサポート要員はマスターキーを持たされてない可能性もあり、だからディスプレイに向かって無限ループ操作しかやりようがないのかと思ったら、彼はこともなく首から下げたマスターキーを取り出すと、あっという間にロッカーを開け放った。最初からそうしろよ!!!

どうも、客を小一時間も待たせているという意識がまったくないらしい。最初からさくっと荷物を取り出してくれれば、礼の一言でも残してとっとと立ち去ったところだが、さすがにもう我慢がならんね(といいつつ、なかなか面白い展開を楽しんでもいるわけだが)。というわけで、最後にちょっとイジワルをさせてもらった。

荷物を取り出して、おっちゃんに手を差し出す。「で、返金してくれるんでしょ?」

おっちゃん、まったく想像してなかったかのように「ぽかん」としてる。しかたなく、ロッカーがまったく想定されたサービスを提供できなかった以上返金は当然だと説明したり、もしこれが原因で飛行機に乗り遅れたり、大事な商談を落としたりしたら、賠償ものですよ的な軽い脅しも加えてみたところ、コトの重大性を理解したもよう。

「ちょっと両替してきます」と駅の方に向かおうとしたが、ポケットに小銭が入っていたことを思い出したのだろう。すぐに300円取り出して渡してくれた。なんとなくこれ、おっちゃんのポケットマネーとして処理される気がするなぁ。保守会社が返金処理を想定してないってことだもんね。

ともあれ次の仕事には少し遅れたが、これにて一件落着。

……まぁ、おっちゃんはたぶん悪くないと思うんだ。年齢は60歳前後。定年後の再就職か、リストラされてバイトに雇われたか。普通にずっとサラリーマンやってて、接客経験がないとしたら、いきなりのサービス業はキツかろう。そもそもちゃんと教育してない保守会社が悪いし、だいいち故障時の対応が話にならない。客を待たせないサポート網整備や、言われなくても返金するようなマニュアル作成を怠ってる。

以前のコインロッカーなら駅員に頼めばすぐに開けてもらえたものが、Suicaロッカーになったとたんにとんでもなくサービスレベルが下がってしまっている。利便性はたしかに向上したが、異常系がこれでは、ちょっとこの先、安心して使う気にはならないね。特に時間が差し迫った状況で使うのは危険すぎる。Suicaロッカーを使うときは、無限に時間が余ってるときだけにしましょう(笑)。