ただのにっき
2009-06-13(土) [長年日記]
■ ひろゆきの持つ貴重な「ユーザ目線」
先日のインタビュー記事で梅田望夫に対する最後の期待を打ち砕いた我らがゆかたんの、次の仕事がひろゆき×夏野対談というのは、辛辣というか意地が悪いというか。いいぞもっとやれ!
読んでいて感心するのは、取り上げられているひろゆきの発言が、キッチリことごとくユーザ目線なことだ。例えば冒頭:
夏野 ここにいる方で、Twitter分からない人いらっしゃいます?
ひろゆき そういう風に聞くと挙げづらいでしょ。Twitterを過去24時間以内に使った人?
ユーザ(聴衆)が答えやすい、しかも効果的に成果を知ることができる質問を、その場ですぐに思いついてる。どんなに有名になっても、どんだけ深くネットを使いこなしていても、すぐに普通の人の目線に戻ることができる。ひろゆきの持つ最大の才能はこれじゃないかと思う。
(追記: 上の発言には「発言者が逆だ」という指摘があった(→YAKさんのはてブ)。このエントリはひろゆきの他の発言や過去の行動も参考にした上で書いているので趣旨に変わりはないが、上記の発言については見当はずれである可能性が高い。でもみんな、ここばっかし引用してるんだよなぁw)
数年くらい前の、新しいWebサービスが雨後の筍のごとく生まれていた頃、「開発者が自分のために作ったサービスが一番使いやすい」なんてことがさも真理であるかのように語られていた。けど、開発者とユーザが必ずしも重ならないような時代になると、案の定、使いづらいシステムがわんさか出てきてるわけだ。
そんな中、開発や運営の現場に対して、ずけずけとユーザ目線のアイデアを話してくれる、ひろゆきのような立場の人間はすごく貴重だ。たとえ1行もコードを書いていなくても、ひろゆきが関わったサービスが面白いのはさもありなんという感じ。ひろゆきに口出ししてもらえる現場の人たちは、すごく幸せだね。
翻って梅田望夫の例のはてブのコメントはバカばっかし発言を見てみると、これの問題は「取締役が顧客をバカ扱いした」ことではないことがわかる。最大の問題は、「取締役が自らユーザのことを理解できないと白状した」ことだ。2008年といえば、近藤社長が普通の人たちにリーチするためにどうしたらいいか悩みぬいていた年である。よりによってそんな時期にああいうこと言ったらダメに決まってるわ。経営についてアドバイスする前に、ユーザのことを理解しようよ。
もっとも、ひろゆきレベルの想像力でユーザのことを思い浮かべられる人なんて、他にもたくさんいるはず。肝心の場にいないだけで。これは日本型組織の持つ構造的な問題なのかも知れないし、奥ゆかしさのあまり思っていることを口に出せない個人的資質のせいかも知れない。でも、開発者に任せておけばいいものができてくるほど世の中甘くないのだから、もっとそういう人が発言できるといいのにね。あー、これが日本のダメなところ?(笑)