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ただのにっき


2011-11-29(火) [長年日記]

継ぐのは誰か? (ハルキ文庫)(小松 左京)

引き続き追悼読書。というかBookOffオンラインに登録しておくと次々と入荷してくれてしまうのでなかなか止まらない(笑)。

たしか中学生のころに読んで、最初に「小松左京すげー」と感じた作品がこれ。そのくせ、どんな話だったか覚えてないんだけど。冒頭の「チャーリーを殺す」ってとこだけ覚えてた。前半はミステリー、後半は新人類テーマの硬派なSF。

SF小説が未来を予言するなんてヨタは、現代のSF読みなら頭っから否定するところだろうが、四十数年前に書かれたこの作品では、それはそれはみごとにインターネットと携帯電話が描かれていて、もう小松左京には「ごめんなさい」するしかない。他の作家だと、ほんの二十年前の作品にすら満足に携帯電話が登場しないくらいなのに。特にインターネットに関しては、実体とはトポロジー的にはだいぶ異なるのだけれど、使われ方にはそんなに違いがないというかむしろこれは「クラウド」を予言してると読み取ってもいいかも知れない。

もちろん一方で、男女の役割がずいぶんと固定されていたり、人が大勢集まっている部屋がタバコの煙でもくもくだったりと、21世紀後半が舞台とすればさすがに古臭い描写も多いのだけど、それにしたってちょっとすごすぎるよなぁ。

Tags: book

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