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ただのにっき


2011-07-28(木) [長年日記]

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)(万城目 学)

2ヶ月前、XMDF形式の電子書籍を自炊するために買ったのを今ごろ読んでたりして。「大阪が舞台で、けっこう売れてて映画化もされるらしい」という程度の前知識しかない、というかあとがき読むまで作者が「鹿男あをによし」の人だということにすら気づいてなかったという(笑)。

江戸時代より前から存在する謎の地下組織を、大阪の風俗にからめながら大げさな話に仕立てるという手法、これは半村良の伝奇小説スタイルと同じだねぇ。半村作品の東京下町を大阪に置き換えて、SF成分を抜いたような話だ。まぁ、半村良は大好きなので、かなり楽しめた。渦巻く陰謀の歯車が、ちょっとずつずれて想定以上の大騒ぎになってしまうところとか、人情話的な幕引きとか。作中ではあえて最後まで触れられずにいた最大の謎についてもちゃんと回収しているから、読後感もさっぱり、良いエンターテイメントでした。

ただ、半村良と比べてしまうとどうしても辛い点になってしまうわけで、たとえばディテールが大阪の描写に偏りすぎていて、会計検査院の仕事ぶりについてはその「姿勢」にしか触れなかったりして(わざとだと思うけど)、なんとなくリアリティに凸凹がある感じがちょい残念か。

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
万城目 学
文藝春秋
¥ 853

そういえばこれを買ったSpaceTownブックス、8月いっぱいで終了だそうで、「これからXMDFの電子書籍を買いまくろう!」と意気込んでいた矢先にこれだもん、たまらんなー。……と心にもないことを書いてみたり。XMDF形式を販売している電子書店はまだたくさんあるし、そもそも欲しい本がないので利用頻度は多くないだろう。

というか、サイトを閉めるのはいいけどさ、推奨する移転先がGALAPAGOSってのはどういうことなのかねー。専用/特定端末でしか読めない書店にしてしまうということは従来の顧客の多くを閉めだしてしまうわけで、そんなことは百も承知だろうから何か勝算があるんだろう。でもおれ、電車の中でGALAPAGOS端末で読書してる人なんて見たことないけどなぁ。大丈夫なんでしょうか、SHARPさん。日本の電子書籍の明日はどっちだ。

Tags: book

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