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ただのにっき


2009-03-08(日) [長年日記]

アート・オブ・アジャイル デベロップメント ―組織を成功に導くエクストリームプログラミング (THEORY/IN/PRACTICE)(James Shore/Shane Warden/木下 史彦(監訳)/平鍋 健児(監訳)/笹井 崇司)

監訳者の木下さんに献本していただいた……んだけど、ごらんのとおりの大型本でおまけに厚いもんだから、えらく時間がかかってしまった。分量が多いだけで、べつに難しいわけじゃないんだけどね。もっとも、苦労して読むだけの価値がある、すばらしい本だった。

本書を最初に手に取ったときの感想は「XPもずいぶんデカくなったもんだな!」。ちなみにおれのXPに対する知識はほぼ輸入初期の状態でとどまっていて、ようするにシンプルな12のプラクティスだけをMAXにして、登場人物はプログラマとオンサイト顧客のみというものだ。初期のXPが持っていた刺激的な謳い文句に誘われて、試しに導入してみた人は少なくなかったと思うけど、おそらくほとんどは失敗しただろう(おれも含め)。

そうして失敗した事例の噂を見聞きして、「やっぱアジャイルだめじゃん」と結論付けた人も多かったと思う。先日見つけた「アジャイルだウォーターフォールだいう前にさぁ」というエントリなんて、まさにこのパターンじゃないかな。XPの表面的な謳い文句に踊らされ、隠れた本質について知ることなく失敗のレッテルを貼ってしまった人たち。

本書には、その誤解を解くだけの情報がたっぷりつまっている。

なにより、プラクティスが増えて、登場人物も専門職を含めてバリエーションを増している。実際の現場で、たった12のプラクティスと2種類の登場人物だけでコトが進むわけがないので、すごく現実に歩み寄ったという印象。導入初期にはとても生産性が落ちることをちゃんと白状し、困ったときに相談できるメンターを用意するようにというアドバイスもある。奇麗ごとばかりを並べていないのはいいことだ。

さらに、「計画」についてかなりの紙数を割いている。XPといえばペアプログラミングやTDDばかりが取りざたされがちで、目にする機会も多い。しかし本当にXPをやってる人たちによれば「XPの醍醐味は計画ゲームにある」らしいのだ。にも関わらず計画ゲームは今まで、ちょっと魔術っぽい部分があった。それが本書ではかなり明瞭になっていて、なるほどこれなら……と思える。

もっともそれでもまだ具体的な例示が足らない気がしてしまうのが、計画の奥深いところなんだろう。なにしろそれだけで一冊あるわけだから。こっちもチャンスがあったら読んでみたい。たぶんすごく面白い。はず。

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
Mike Cohn/安井 力/角谷 信太郎
マイナビ出版
(no price)

具体的な事例や練習方法、想定問答が各節に用意されていて、フォーマットがよくでいている。通して読まなくても、いま直面している問題への解決策が見えてくるだろう。ただ、終盤の展開が少し駆け足なのは、まだ深く探求されていない部分なのかも知れず、今後に期待。

あと、とても読みやすい現代日本語になっているのがすばらしい。翻訳者・監訳者に拍手。なにしろアジャイル業界には(ry

Tags: book agile

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