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ただのにっき


2008-09-24(水) [長年日記]

@nojiri_h にアイマスのすごさを伝える試み

Tumblrをウロウロしていたら、Twitterでなされたこんなやりとりを見つけた:

nojiri_h: ボカロ界隈についてほとんど知らないニコマス廃人が以下略 http://d.hatena.ne.jp/hunir...
nojiri_h: このblogのおすすめを全部見たけど、ボカロな自分にはぴんとこなかった。確かに編集技術はすごいけど。

ので、@nojiri_hこと尻Pこと野尻抱介に、アイマスのすごさをSF者っぽい視点で伝えてみようと思った。「ニコマス」ではなく、「アイマス」のすごさのことだ。

常々主張しているのだが、アイマスのすごさは不気味の谷の向こう側の一番高いところにあることにある。人類は自らの創造物に不気味の谷を超えさせる努力を延々と続けているが、残念ながらそれに成功したことは未だかつてない。アイマスは(現状では無駄な努力にすら見える)その愚をおかさず、あえて向こう側に踏みとどまっただけでなく、その中でももっとも高いポイントを見つけ出し、そこにとどまる方法を編み出した。あとちょっとでも足を踏み出したら、奈落の底に真っ逆さまの、まさにそのポイントである。

このポイントを見つけ出すことがいかに難しいかは、海物語のマリンちゃんが谷底で生まれたのち、なんとか向こう側に這い上がったものの今はずいぶん谷から離れた場所にいることや、DoAが崖っぷちに辛うじて手をかけつつも、実質的に谷に落ちている状況を見ればわかる。言い換えれば、同じラグランジュポイントでもL4やL5ではなく、L1やL2で安定軌道を描くような難しさと言えよう*1

すなわち、アイマスは工学的にすごい。Vocaloidエンジンの登場というエポック抜きにボカロのすごさを語れないように*2、アイマスのすごさを認識せずにニコマスは語れないのである。


なおこの文章は、こちらの意見に準拠して書かれました。

Tags: idolm@ster

*1 これは明らかに間違ったたとえ話なのでスルーな方向で(笑)。

*2 オリジナル楽曲のすばらしさは別だが、それは別にボカロ抜きでも語れる。

本日のツッコミ(全8件) [ツッコミを入れる]
野尻抱介 (2008-09-25(木) 16:31)

 ふむふむ。では議論の地ならしとして以下の3点を提示します。

(1) アイマスは不気味の谷を渡っていない。またいでいるのだ。
 不気味の谷は工作物を人間に似せる過程にあるものだが、アイマスが似せようとしたのはアニメや漫画のキャラだと考える。輪郭線やセルシェード処理はそれを裏付ける。
 一方、アイマスのステージ・シーンには過剰なリアリティがあり、生身の人体にアニメキャラのマスクをかぶせたような印象がある。つまりアイマスのクリーチャーは、首から上が不気味の谷の非人間側、首から下が人間側に分断されている。
 このちぐはぐなリアリティが「人間だけが演じていたステージを、アニメ世界*1に引き込めるんじゃね?」「アニメ世界を人間界のステージに持ち込めるんじゃね?」という欲求をもたらした。不気味の谷をまたいだことが橋渡しとして機能し、ニコマス・ムーブメントの推進力になったのではないだろうか。

*1 アニメに限らず、非人間側全般のこと。

(2) Twitterでの議論はアイマスではなくニコマスが対象である。
 アイマスの持つ高い工学技術は認めるが、Twitterでgigir氏と論じたのはニコマスという、ユーザーサイドのムーブメントから生まれた作品についてである。

(3) ボカロ界に紹介すべきニコマス作品とは。
 上記の議論で念頭にあったのは「ニコマス民はボカロ民に作品をアピールするとき、作品選択を誤っていないか」である。

 ボカロが持つ、人の歌として聴けるだけのクオリティ。アイマスが持つ、あてがわれた歌で踊らせるだけでは満足できないステージシーンのクオリティ。これらのテクノロジーはそれぞれのムーブメントに必要な要素ではあっても、それだけでは不充分と考えます。むしろそこから生じたムーブメントに、どのような接点があるかを力点とすべきではないでしょうか。
 SF的な視点については、近刊『ボーカロイドを楽しもう』(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4636837622/)に私へのインタビューが載っているので、その一部を引用しておきます。

(質問) SFのガジェットとしてボーカロイドは使用できると思いますか?

(回答) キャラクターとしてのロボット/AI歌手は古くからSFに使われています。しかしこの一年で私たちがボーカロイドから教えられたのは、それではありません。ボーカロイドを核に、ネット上で万単位の人間が離合集散しながら引き起こす、複雑きわまりないムーブメントそのものです。
 こうしたものは予測が困難です。これはカオス現象やスケールフリー・ネットワークとして扱う性質のもので、SFにこの現象を取り込んでいくことはまだ充分とはいえませんし、大きな挑戦になるでしょう。

ただただし (2008-09-25(木) 21:03)

想定どおりにマジレスが来た ><;
のでマジに返します。

>(1) アイマスは不気味の谷を渡っていない。またいでいるのだ。

これには異論がある。対象物によって「谷の幅」が変わることを失念していないか。
人間は顔に関して非常にセンシティブなので、不気味さを感じる閾値は低い(谷の幅が広い)。だからアイマスの顔はあまり人間に近づけることができず、むしろアニメに近いのだ。一方で、人ならざるものがリアルに踊っていても不気味さは感じにくい。ステージ・シーンをリアルにできるのは谷の幅が狭いからだ。
つまり、アイマスは常に谷の向こう側にある。見る場所によって対岸が近くなったり遠くなったりしているだけだ。

>(2) Twitterでの議論はアイマスではなくニコマスが対象である。

元の発言にある「確かに編集技術はすごいけど」に対し、ニコ動上の作品だけを見て評価するのは正しくない、ということが言いたくてこの記事を書いた。
上の記事ではボカロ民を貶めたと勘違いされないように記述を避けたが、ボカロに対しても同じように「確か調教技術はすごいけど」という批評ができることを忘れてはいけない。それに対し「そもそもVocaloidエンジンがすごいのだ」という返しが来るのは当然で、作品を評価するにあたってその基盤技術を分離しては意味がないのだ。

>(3) ボカロ界に紹介すべきニコマス作品とは。

ただし、野尻さんの興味が「作品そのもの」にないのだとすれば、gigirさんの解説や、元のブログにおける紹介作品は適切ではないことがわかってくる。

>むしろそこから生じたムーブメントに、どのような接点があるかを力点とすべきではないでしょうか。

(一般的なボカロ民に対して)こういう観点で「紹介すべき作品」をチョイスすべきという意見にはあまり賛成しないが、野尻さんの興味の方向はわかった。

ニコマス民のお祭り好きは知れ渡っていることだし、まずは24時間アイマスTVみたいなイベントを企画運営する力量をコミュニティが持っていることを押さえた上で:
http://www11.atwiki.jp/24himastv/

「クラブイベント"トカチゴールド"におけるTPTPと友PのコラボレーションをえこPが動画で再現」といったリアルとヴァーチャルが渾然となったメタな作品はありだろう。作品成立の背景を知るとさらに何倍も楽しめる:
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4623374

背景知識といえば、「シビれさせたのは誰?」はアイマス/ニコマスを深く知らないと半分も楽しめない作品なのだが、それでも(知らない人までをも)楽しませてしまうのはすごいことだ。が、手法的に新しいわけではない。オリジナルアニメに既存楽曲を合わせたものとしては、タカシPや友Pの作品はどうか:
http://www.nicovideo.jp/mylist/5659776
http://www.nicovideo.jp/mylist/1401613

あとは血気盛んな人たちがいろいろ紹介してくれるだろう……けど、「ムーブメント」を理解するには、そのコミュニティにどっぷり浸かるしかないんじゃないかなー。

野尻抱介 (2008-09-28(日) 12:23)

 では、さらにマジレス路線でいきます。

 (1)について。たぶん平行線でしょうし、結論がどうであれこの議論には重要じゃないと思うので、これ以上は語らずにおきます。

 (2)について。「編集技術はすごいけど」とスルーされちゃ困る、という話でしょうか? それなら理解できるのですが、たださんが強調していたのはアイマスの3Dアニメーション技術であって、動画作者の編集技術ではないのでは。

 (3)について。見事にヘビーなやつばっかりですね。アイマス愛の暴走と受け取っておきます。
 24時間アイマスについては、全部見ると12時間以上かかるので視聴はパスしました。開催当日、私も数点の動画を視聴しましたし。この企画を実行し、成功させたコミュニティの力には敬服します。
 トカチゴールドの動画については、おっしゃる通りで多量の背景知識が必要と思われます。それを持たない私には「?」でした。これはビギナーには向かない作品と考えます。
 タカシP、友Pの作品は感銘を受けました。どちらもオリジナリティがあり、技術的にも素晴らしい。友Pの作品はアニパロが多いですが、原作への依存性が低いので、PVつきボカロ・オリジナル曲に近い感覚で楽しめました。友Pの作品を全部観た後なら、トカチゴールドもかなり理解できました。

 参考までに、自分の「その他」マイリストに残していた作品を列挙してみます。たださんのリストと重なる部分もあります。括弧内はマイリスした理由。

IMMWS 宣伝動画 ~地球がニコマスする日~ (ムーブメント)
アイドルマスター 音無小鳥 ID:[OL] (脇役の拡張)
とかちスレにお絵かきチャットを与えるな (ファン活動)
アイドルマスター 如月千早 「嵐が丘」 (作品性。異化)
【アイドルマスター】 翼をください (作品性。異化)
アイドルマスター手描きMAD「シビれさせたのは 誰?」(作品性。異化)
【手描き】小鳥さんたちに明日はない【PV風】(作品性。異化)
【アイドルマスター】ハジメテノオト (ムーブメント、コラボ)

 作品性とは、主にオリジナリティ・独創性の評価。ゲームの紹介ではなく、ユーザーの創造性が強く出たものです。「異化」はオリジナルに異質な操作を加えることでキャラを深めた(と思われる)もの。私はどうも異化成分がないと反応しないようです。SFファンのメンタリティかもしれません。初音ミクの場合、オリジナルのキャラ構築がないので、ユーザーが作るものは自動的に異化成分を伴う。これが性に合っています。
 一方、「ボカロ界隈についてほとんど知らないニコマス廃人が――」で紹介されていた作品は「調和」系に分類します。オリジナルと調和をとりつつ拡張していって、いまや究極の域まで完成度を高めている。様式美といってもいいかもしれませんが、語弊を伴うかな?
 ノーマルPV→マスターバージョンのPV化→他の楽曲を取り込んだPV、という順序でニコマスにはまった人は調和系に深い愛があるように見えます。そしてそれを初心者に勧めてしまう。
 しかしそのルートは、オーソドックスなようで実は深い愛と知識を要求するのではないでしょうか。ボカロ民からすると、異化系のほうがとっつきやすいのではないか、と思うわけです。

ただただし (2008-09-29(月) 19:13)

(1)について。平行線というか、SF者でもある野尻さんに向けてのネタみたいなものだし、あんまり真剣に話を続けられても困るので、このへんにしておこうというのは同意です。

(2)。単なる「3Dアニメーション技術」というよりは、アイマス開発陣が到達した「不気味の谷に落ち込まない絶妙なバランス感覚」のことを伝えたい。「編集技術云々」という評価は、料理にたとえるなら調理技術についてのみ評価しているだけで、素材の良さや、その素材を生かす調理方法の選択について見逃しているわけです。
同じことはボカロにも言えるわけで、いわゆる「調教」具合だけを評価基準にはしませんよね? 例えば「この曲はミク向きだ」なんて評価は調理方法の選択にあたるわけです。

もっとも、野尻さんの興味の方向が「ムーブメント」にあると判明した時点で、上記のような話はスルーでいいかと思います。ただ、ムーブメントに興味がある人はどちらかと言えば少数派でしょうし、MADの楽しみ方のポイントとして、編集技術だけでなく素材とその選び方にも着目すべきだと私は考えます。

(3)。Twitterでの発言を見ていて、野尻さんはボカロへの参入障壁を低く見積もりすぎているなと感じました。たしかにミクしかいないときには、(彼女には設定はほとんどなかったので)必要な前提知識はゼロに近かったでしょう。それでも、「これが機械による歌声だ」ということを知らずに聴かされれば、それは単なる滑舌の悪い女性ボーカルです。この時点でもなんらかの前提知識が必要でした。

それが今では、「ミクに続いてリン・レンが加わり、KAITOやMEIKO、さらに海外製品や他社製品もがボカロの仲間入りをしていて、おまけにファンが勝手に作った設定が公式サイトもないままに合意形成されている」という状況です。初めて見た人から「で、あの『ツマンネ』と罵られてる、たれ目で巨乳の気の毒な感じの姉ちゃんは誰?」と問われた時に、一言で答えた上でその人をコミュニティに引き込む力のある動画が存在するでしょうか?

おそらく、ムーブメントとやらを理解させる簡単な方法など存在はしなくて(上で示したのはそれを表現するための[ちょっとイジワルな]リストでした)、人それぞれに琴線に触れる動画が存在するんだと思います。統一された単純なリストではなく、その人に合わせてカスタマイズされたリストが必要なんでしょう。「ボカロ民には異化系がよい」とする野尻さんの論には頷ける部分もありますが、ボカロ民を一面的に捉えすぎているようにも思えます。今回のVocaloidM@ster祭りで「ココロ」に惹かれたボカロ民が多くいたことを見ても、異化系ばかりがきっかけになるとは思えません。

で、異化系に惹かれた野尻さんへの次なるオススメは、ちょっと変化球気味のアストロPです(笑)。いっぱいあるので、サムネにティンときたいくつかをつまみ食いするだけでもいかがでしょう?:
http://www.nicovideo.jp/tag/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%ADP

最後に一言。ハクかわいいよハク。

野尻抱介 (2008-09-30(火) 10:56)

 (2)について。大体了解しました。力点のずれは感じますが、さほど大きくはありません。
 (3)について。ボカロの場合、その柱であるオリジナル曲およびカバー曲については、キャラクターが何人いようと、その知識は不要です。普通に音楽番組を観賞するつもりで観ればいい。滑舌が悪いと思うならそれがボカロの実力なので、仕方がない。
 それ以外の作品についてはキャラクターの知識が必要なことを認めます。また、キャラソンについても多少の知識(ネギ、ロードローラー等)は必要かもしれません。
 しかしこうしたキーワード化できる情報は、ぐぐればすぐに解決する性質のものです。
 たださんが例にあげた「たれ目で巨乳の気の毒な感じの姉ちゃん」にも「弱音ハク」というキーワードがある。別の動画を示すまでもなく、キーワードを示せばすぐわかる。

 いっぽう今回、発端となったやりとりで「ぴんと来ない」と述べたのは調和系のガチ動画であって、これの何が見どころかを知るのは実に難しい。先に述べたとおり、ノーマルPVからの発達史に通暁する必要があるからです。私がいうムーブメントとは、この発達史そのものです。この系統樹には「トカチゴールド」や「てってってー」「765コマンド」のような枝が数多くあって複雑に交錯している。

 実のところ、今回の議論で私から言えることは「いきなり調和系ガチ動画を薦めるのはうまくない」――これだけです。ボカロ民には異化系でOK!なんて万能説を唱えるつもりはありません。
 Twitterでのやりとりから、ニコマス入門の王道はノーマルPVやMASTERARTISTから入ることかもしれない、とも思いました。
 以下はmonyako氏が私に、とても天真爛漫な言葉でアイマスの魅力を伝えてきたものです。
 この人はまず、まだ発売されてもいないPSP版に全幅の信頼を寄せている。
「PSP版は良い選択ではないかと思います。素敵なゲームですよ、アイドルマスター。みんな可愛くて」
 わかります。美少女ゲームとはそういうものでしょう。
 彼の脳裏には、プレイの光景がありありと描かれています。
「この可愛い子たちが、オーディションに勝ったり負けたりで一喜一憂する姿にメロメロになるんです(*´ω`*) しかもメールとか送ってくる・・・」
 その彼がニコマスにはまったきっかけはこの通り。
「しーなPの『キラメキラリ』でアテられた口なので、根がそっち系なのかもしれません(笑)」
「キラメキラリにはフルバージョンっていうのがあって、それの後半がとにかく楽しそうだったのです(*´ω`*)アイマスってこういうものなのかと納得しました。」

 検索してみると、該当する動画はMASTERARTISTタグがついていました。この段階なら、素のプレイ映像に近い(んですよね?)。ここで一目惚れすれば道は開けたも同然だし、以後のPV発達史を理解する足掛かりになる。たださんが「素材、基盤技術をふまえるべき」と述べているのも、結局この段階を知れということじゃないでしょうか。

 アストロPの作品は「秋月律子劇場」を全部拝見しました。これはいいセレクションで、黒田硫黄を思わせるものがあってとても楽しめました。登場人物はゲーム設定より年齢が高いと思いますが、アイマスのキャラは人間なのでそのへんが想像しやすくていいですね。
 私もおすすめリストを作ってみました。弱音ハクを知ってるならご存知の作品ばかりでしょうけど、暇なときにでもどうぞ。
 http://www.nicovideo.jp/mylist/8557284

 議論としてはだいたい尽きたでしょうか。最後にSF系の話をすると、『南極点のピアピア動画』に登場する奈美というキャラは「女子大生になった鏡音リン」という裏設定があります。性格設定が皆無なのに、ユーザーの間に似通ったイメージが浮かび上がるのは興味深いことです。劇や小説ではなく、音源ライブラリという形での人物描写の可能性を示しているからです。

ただただし (2008-10-01(水) 20:07)

なんとなく自分でもまとめ的なものを書かないといけない気がしたので少しだけ。

実は野尻さんのおすすめを見ても、心惹かれるものはあまりなかったのです。「ぱっへるべるのかのん」だけかなぁ、既知でしたが。もちろんネタっぽい作品は笑いながら見たけど、オリジナル曲はストレートすぎて気恥ずかしいんですよね、心が汚れているので(笑)。ただ、もし野尻さんが私のfavoriteボカロ作品が「円周率1000桁」(Ref. http://sho.tdiary.net/20080504.html#p01 )だと知っていたら、ぜんぜん違うリストを作ったと思います。

一方私は、野尻さんをへぼピーナッPから友P・タカシPを経て、(大のお気に入りである)アストロPへの誘導に成功してにんまりしているわけで、これはもう、典型的なレコメンデーションのセオリーだなと。ようするに「おれのお気に入りを見ろ」が成功することは稀で、「あなたの好みはどれですか」を繰り返すのが基本だと。

矢夜雨Pの「ココロ」でニコマスに興味を持った人には、わかむらPや慈風Pではなくて、まずは「ふたりのもじぴったん」を薦めるべきなんだな。

もちろんきっかけは必要なわけで、最初はバリエーションを持たせた作品を小出しにして様子をみる。おいしいところだけ切り出してあるから、ランキングがいいかも。個人的にはちゃんとノーマルPVも見て欲しいけど、そういう押し付けをしちゃいかんのでしょうね。

ニコ動には「登録しているマイリスト」機能があって、琴線に触れた作品から似た作品を探しだすことを期待されているけど、まだインテリジェンスがぜんぜん足らなくて、いい感じのマイリストに出会える可能性が低いのが残念。これが進歩すれば紹介に関する悩みは少しは減るのかな。

野尻抱介 (2008-10-02(木) 00:19)

 あー、あのおすすめは一般向けに作ったので、たださんを狙い撃ちしたわけじゃないです。それを作るには情報が足りませんでしたし。(tDiaryの作者ならプロフに「好きなボカロ・ニコマス」タグぐらい実装しておけばいいのに) 円周率1000桁がお好きなら「ミクトロニカ」タグでしょうかね。あるいは「ネギギャロップ」とか。
 レコメンドは自動化がすすめば便利にちがいありませんが、ファンの間にもその強い欲求があるので、これを駆動力にしてなにか面白いことができないかと思ったりもします。(参照:http://anond.hatelabo.jp/20080926202516) レコメンド自体はマイリスやblogでいくらでもできるわけですが、レコメンドのレコメンドは未完成ですよね。

 終わりそうで終わらないこのやりとりですがw、実はレコメンドのメタ化というのが最近の関心事で、ニコマス・ボカロ交流はそこに包接しているイメージです。埋もれた情報を発掘するネタで『素数の呼び声』が書けたので、このへんに何か面白いマンデーンSFネタが転がってないかなあ、と。

ただただし (2008-10-02(木) 18:47)

あー、野尻さんのオススメが「汎用」なのは承知です。私が言いたかったのは、「ターゲット」が明確でないレコメンドが成功する確率は低いということなので、それで良いのです。

レコメンドする側の思い入れが強すぎると、得てして相手のことをないがしろにしがちです。これってもう、マーケティングの話ですよね。私が機械的なレコメンドに期待するのは、機械は無私の存在になれるからです(私が技術者だというのももちろんありますけど)。


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