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ただのにっき


2006-12-27(水) [長年日記]

新春エンジニアかるた大会

終電間際の秋葉原駅ホームからヨドバシを望む 週明けから2日ほど修羅場っていたので、日記を書く暇もない始末。おかげで年末年始はのんびりできそうだけど。

忙しい日々の合間にちょこちょこ書いて送っていたTech総研のかるたがまとまったようだ。いくつか採用されているようでよかった。でも、けっこう総研スタッフの作が多いのは、一般応募作は特定の言葉に偏っちゃったからだろうなぁ。ご苦労様です。

ひとりっ子 (ハヤカワ文庫SF)(グレッグ イーガン/Greg Egan/山岸 真)

何度も書くが、日本でイーガンの短編集が3冊も独自に編まれるというのは実に幸せなことだと思う。が、さすがに3冊目ともなると、全作品が期待を上回るかというとそれは無理というものか。もちろん、どの作品も及第点以上ではあるのだが。あと、『ディアスポラ』と同じくらい、SF耐性のない人に勧めるには注意が必要かも。

「行動原理」「真心」「決断者」「ふたりの距離」は、イーガンお得意のアイデンティティ物のバリエーションで、掘り進む方角が違ったり、人と人との関係性に踏み込んだりしてはいるものの、基本的なテーマを知っていればそれほどビックリしないというか。もちろんそれはそれで楽しいので、読んで損はない。

やはり出色なのは超数学バカSF「ルミナス」で、バカSFなのにコミカルではないという、同じ数学バカSFであるラッカーの作品とはぜんぜん違うところが面白い。副読本として『フェルマーの最終定理』とかどうだろう。しかし、こういう作品に星雲賞をあげちゃう日本のSF界は、まだ捨てたもんじゃないよな、と思う。裏を返せば、こんな作品ばかり喜んで読む日本のSF界はもうダメぽ、と言えなくもないが。おれはいいけど。

「オラクル」「ひとりっ子」は、連作ではないが緊密な関係がある作品。「ひとりっ子」だけ既読だったが、「オラクル」のおかげでよくわかった部分もあって、この並びで読めてよかった。もっとも、「お話」としてそんなに面白いわけじゃないと思う。

個人的にすごく刺激的だったのは、多元宇宙が離散的であるという認識。今までは漠然と、なめらかに連続する無限の宇宙が存在している気がしていたけど、よく考えればこっちの方が筋が通るよなぁ。となると、ひとたびクァスプを生み出してしまった宇宙は、そのクァスプを基点としてどんどん束縛されてしまい、最終的にひとつの可能性に収束してしまうのではないか、いや光速は超えられないからそれはないかな……なんて夢がひろがりんぐ。たぶん、こんな議論はとっくになされているんだろうけど。

とまぁ、物語と関係ないところで妄想が膨らむ、ある意味でいいSF体験であった。


ところで、ひとたび気がついたら最後まで気になってしまってしょうがなかったのが、「オラクル」のヘレンの一人称が「あたし」だったこと。「わたし」の方が雰囲気に合ってると思うんだけどなぁ。

Tags: book

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