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ただのにっき


2001-09-16(日) 4677歩

#43組み立て(2)

今日は夜までPCをいじる時間がない。買い出しに行ったり、車のタイヤ交換をしたり、実家に行ってサンマとイカを死ぬほど食ったりした。

帰宅後、さっそく#43と#15を立ち上げてIRCへ。今日は_tom_さんがいた。昨日の状況を説明して、いろいろ見てもらったが、やはりXFree86を3.3.6にした方がよいのではないかという結論。そんじゃそうしませう。ZooにあるXFree86-SVGA-3.3.6をGETしてきてインストールし、XF86_SVGAサーバへのリンクを設定する。

# rpm -ivh XFree86-SVGA-3.3.6-14k.i586.rpm
# cd /etc/X11
# ln -sf ../../usr/X11R6/bin/XF86_SVGA X

 これでもXconfiguratorが死ぬ状況はかわらないので、_tom_さんにXF86Congigを手動で作ってもらう。XF86Congifが手で書けるなんて、すごいでしゅー。

ここでXFree86豆知識(またの名を受け売り)。XFree86 3.xと4.xの違いは、3.xがXサーバをチップごとに持っていた(実際はかなりの数のチップがSVGAサーバで動いたが)のに対して、4.xでは単一のXサーバ(XFree86)に対してビデオドライバを差し替えて使うようになっている。今回のトラブルは4.x用のsisというドライバがうまく動いていないようなので、これを(SiS630をサポートした)3.3.6用のSVGAサーバで動かそうという狙い。4.xを使っている環境では/etc/X11/XXFree86へのリンクになっているので、3.x用のSVGAサーバを使わせるために上記のような作業をするのである。豆知識終わり。

XF86Config(3.3.6用なので-4は付かず)を/etc/X11に置いて、おそるおそるstartx。すると、1280x1024の解像度でXが立ち上がり、Gnomeデフォルトのデスクトップが現れた!! うひょー、すばらしーっ。_tom_さんありがとー。うわーん(号泣)。

この時点で午前2時。また遅くなってしまった。明日は会社だ。ということで、動いたことを確認して寝る。#15からのファイルのコピーはどうするか、明日考えよう。


2002-09-16(月) 3589歩

クラッキング?

一昨日あったこのツッコミ。腹立つね。同じ日にツッコミにHTMLタグが使えない理由を書いてあるから、それを試すつもりなんだろうけど、明らかにJavaScriptを埋め込めるかどうかを確認するつもりの入力。成功したらどうするつもりだったのか、小一時間問い詰めたいところだ。

そういえば、クロスサイトスクリプティング脆弱と言えば有名なoffice氏、tDiary.Netにも襲来したことがあるんだけど(笑)、やっぱり何の予告もなしにタグが埋め込めるかどうかをチェックしていた。各地の脆弱性を精力的に暴き続ける、その志の高さは認めるが、事前に予告もしないのはどうかと思い、あとで苦情のメールを入れた。折り返し丁重な詫びの返事をもらったが。

ああいう一歩間違えばクラッキングになりかねない行為は、たとえそれが正義のためであっても、事前にサイト管理者に断りを入れるべきだろう。個人が運営しているサイトであれば管理者が旅行中かも知れず、脆弱性が明らかになった状態で放置されれば、誰の得にもなりはしない。見つけた本人は鼻高々かもしれないが。

ゴキちゃん

ツタヤで借りてきた「スパイキッズ」を見ていたら、久々に登場。黒々とした大きめのオス。が、最初の登場時はすぐにテレビの裏に回られてしまった。

しかし、ここで慌てて殺虫剤を取り出して、やみくもにまき散らすのは素人だ。次の登場をじっと待つ。ヤツはぜったいにもう一度出てくる。

ふたたび現れたらすかさず立ち上がってティッシュを数枚取り、退路を断って逃げ場のない広い場所におびき出してから(←重要)上からパッと押さえ、ティッシュで多重にしっかりくるんで、親指でグッととどめを刺す。この間5秒。床も指もいっさい汚さず。

なんでみんな、この程度の敵に大騒ぎするのかわからんのだよ。HalfLifeで言えばダニよりチョロい(またわけのわからん例えを……)。

ちなみにおれは、ムカデがダメ。視界に入れるのもイヤ。

本日のツッコミ(全14件) [ツッコミを入れる]

Before...

うえち [あの感触が無いと、ほんとに潰れたか不安なので、やはり必要な感触だ。]

はんばあぐ [ところで、オスってどうして分かるのですか。]

ken_u [ティッシュはもったいないので、うちは新聞紙。ところで、スパイキッズどうでした。私的にはど真ん中。]

くわ [自分もど真ん中でした。でも2は…。]

shachi [2は「骸骨戦士」のための映画では?]

ただただし [オス: 羽が大きいからオスだと思っていたけど、調べたらワモンゴキブリの雌雄は羽じゃわからないらしい……のでメスかも ..]


2003-09-16(火)

MissionC

あおきにっき つっこみつきより。

ひゃー、今度は『萌えるC言語』かよ!!(笑)

ちなみに『MissionJ』(Java)もあるようだが、こっちはあまり萌えない方向みたいだ。これで萌える人がいたら、それはそれでイヤだが。……とか思っていたけど、考えてみたらCの方も萌え系の絵じゃないねぇ。狙いがよくわからん。

JTrim

最近お気に入りのレタッチソフト。

こないだのパラボラ旅で、ホテルで日記にあげる写真を整理しようとしたら、LibrettoにGIMPを入れ忘れていて困ったんだよ。でも考えてみたらメモリもCPUパワーも足らないこのマシンにGIMPを入れても使い物にならん。そもそもGIMPはキーボードから扱いにくいから、マウスなしノートでは厳しい(メニューをチューンするとだいぶマシになるが)。

で、イロイロ探してみたら(←この時点で本末転倒気味)見つけたのがコレ。いちどに複数のファイルを編集できないけど、どうせ貧弱なノートでは1個ずつ開くし(複数のインスタンスを開くことは可能)、ほとんどの機能にショートカットキーが指定済みなのもいい。こま犬ライブラリに載せるような、ちょっとしたトリミングやサイズ調整は、これだけで十分だなぁ(とは言え、実際はすごく高機能である)。

キーボードで「ハードウェア取り外し」(3)

こないだのリストを埋めた。つーか、未使用の2つは、けっきょく動かせなかったんだけどね……。

PicoShot

うひょー。小さいもの好きにはたまりませんな。via ごたく

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

babie [日記の内容と関係ありませんし、既報かもしれないですが、あの(GCCプログラミング工房等)西田亙さんがtDiary始め..]

ただただし [タレコミ感謝です。捕捉しておこう。]

えふ [これすっごい(おおげさ)ですねー http://software.nikkeibp.co.jp/software/m..]

moriq [学習コンピュータNavi萌え? 「私の使い方を説明します」]

Yoshi [小さくないですけど、こんなのはだめですが?http://www.solidalliance.com/press/pr..]

ただただし [おー、これもなかなか。スパイっぽいですね。]


2005-09-16(金)

はてな投げ銭のバナー

先日、はてな投げ銭を受け付けているサイトに貼るバナーをでっちあげたが、やっとオフィシャル版が登場した。

これで海賊版はお役ご免だなーと思ったが、どうもこの「OK」ってのがひっかかる。なんかイマイチ。「投げ銭してくれてもいいよ」って意味に感じるからだな。「OK」ってのは投げる側の心理であって、受ける側の心理ではない。

おれのバナーの「Acceptable」は、もうちょっと柔らかいニュアンスを含めたつもりだったので、違和感があるのだ。まぁ、どっちも英語で書いてある時点でダメかも知れんが(笑)。

irc.tdiary.org新設

先日からつながらなくなっちゃったので、tdiary.orgのサーバ上でircdを立ち上げてみた。つっても、Debianのircdパッケージを入れただけなので、これでいいのかどうか自信ないけど……。とりあえずChocoaから直接と、madoka経由では入れている。

ホスト名はirc.tdiary.org、irc.tdiary.netどちらでも。本当は、どっかとちゃんとリレー関係にしたほうがいいんだろうなぁ(←よくわかってない)。


2006-09-16(土)

メモリー 上 (創元SF文庫)(ロイス・マクマスター・ビジョルド)

上巻はほぼ全面に渡って暗くてじめじめした内省的な話で、「たまらんなこりゃ」と思いつつもちゃんと読めちゃうところはさすがビジョルドというべきか。

下巻からはミステリ仕立てになってテンポも上がり、がぜん面白くなってくるが、マイルズの「自分探しの物語」であるところはかわらず、「あれ、これってスペオペじゃなかったっけ?」と悩むことに。つーか、こんな結末でシリーズの続きが書けるのか(というか読者がついてくるのか)。

といいつつ、たぶん続きが出たら買っちゃうんだろうな……と思わせてしまうところが、また、さすがビジョルドというべきか。

Tags: book

2007-09-16(日)

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を観てきた

劇場に貼ってあったポスター 20代の頃ほど飢えていないので、毎月の「SFマガジン」も隅から隅まで読んだりはしない。最近、連載で欠かさず読んでるのは「罪火大戦ジャン・ゴーレ」と「ゼロ年代の想像力」くらいか。いやぁ、「ジャン・ゴーレ」は面白いよねぇ!

……ではなく、「ゼロ年代の想像力」では、エヴァを"引きこもり肯定"の古い(1995年代)の価値観の走りであり、現在は"現状を飲み込んだ上でのサバイバル"という新しい(2005年代)価値観に移り変わっていると説く(とか適当にまとめるとツッコミがありそうだけど無視する)。まぁ、個人的にはどっちの価値観も好かんけど、エヴァがそういう立ち位置にあるのは納得する。だから、「12年間エヴァより新しいアニメはありませんでした」と偉そうに言い切る庵野秀明が、今回の新劇場版で古い価値観を蒸し返して満足するのか、現代の新しい価値観に追いつくのか、それともさらに先を行く価値観を提示するのか、そんなところには興味がある。

つーわけで、業務上の要請(?)で観ることになったかみさんに付き合って鑑賞して来た。とは言うものの、こちとらガンダム世代どころかヤマト世代である。初恋の人だって、マチルダさんじゃなくて森雪だよ(違うけど)。悪いけどエヴァにはこれっぽっちも思い入れはない。そんなフィルタのかかっていない目から見ると、しょせん序章は序章。たしかに終盤、TV版とは違った方向に動き始めているようだが、まだ何か評価できるようなコトが起きたわけでもない。相変わらずシンジが壊れていく話みたいだし。まぁ、こうなったら最後まで付き合うけどな。

でもさすがに新しいだけあって、絵も動きもきれいになっている。最近のアニメで、安っぽい3DGCのぺかぺかしたメカばかり見せられていたせいか、ちゃんと塗られて質感のあるメカはグッド。特に終盤のヤシマ作戦のカッコイイこと! そりゃぁ、絵コンテが樋口真嗣だもん、カッコよくならないわけがない!

その他:

(1)ミサトのベッドサイドに、「JIDAI」が置いてあって吹いた。アンノつながりか。講談社関係ないのに。たしかにミサトは、ああいうおっさん臭い週刊誌を読みそうだ。

(2)観客が思いのほか若い。おまえら、リアルタイムでTVシリーズ観てないだろ、ってくらい若い。意外と広い年齢層に受け入れられてんだねぇ。つーか、うちらが最高齢っぽかったんですが! かみさんが、彼らが一言も発せずに食い入るように観ていたので驚いていた。そりゃそうだろう、バイブルだもん。おれだって、ヤマトがリメイクされたら固唾を呑んで観るよ(たぶん)。

(3)直前に性転換エヴァンゲリオンを観てしまったので、ゲンドウが写るたびに女性化されたゲンドウを思い浮かべてしまい、笑わずにいるのに苦労した。

Tags: movie
本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

向井 [新しいエヴァはパチスロで知った世代がメインターゲットだっていう話も聞きますよ。彼らはパチスロでのネタの元とか(あわよ..]

ただただし [えぇ〜、マジすか。まぁ、ありかも知れないけど、少なくとも攻略法はないよなぁ。]

yoosee [ハンズのエヴァグッズ売り場の前を占拠してたのはどう見ても十代の若者だったので、パチスロ世代とは必ずしもかぶらない気が..]

 [世の中には、「スパロボ世代」とゆーモノもあるよーですが……。]

ただただし [あれを「世代」と呼ぶのは抵抗がありますねぇ(世代っつーか単なる嗜好じゃね?) >スパロボ]

shaga [スパロボ「世代」というのはおかしいですが、スパロボの影響はでかいですよ。以前、どっかのブログで「スパロボのガオガイガ..]


2009-09-16(水)

グスタフ、離乳食に挑戦中

おやすみなさいのポーズ

ちょっと間があいたけど、元気に育っております。今日で9日目。初日に比べて、倍くらいの大きさになった気がする……というのは大げさか。でも片手にすっぽり入るくらいだったのに、今では両手が必要だから、まんざら嘘でもない。

動きもずいぶん敏捷になって、当初は重い頭をふらつかせながらヨタヨタ這うように歩くのがせいぜいだったのに、今ではミルクに向かってダッシュしてくる。足元をチョロチョロ歩き回るので危なくてしょうがない。まぁ、かわいいけどね。

口の中を見ると、上下からとがった犬歯が生えてきているので(猫なのに犬歯とはこれいかに)、そろそろ離乳の時期だと思い、市販の離乳食を与え始めているが、これがなかなか食べてくれない。指につけて口に持っていくと、なめてはみるものの、あまりしっかり食べてるという感じにはならない。しばらく挑戦させたあとでミルクを与えると、待ってましたと言わんばかりにガブガブ飲む。もうちょっとミルクなのかなー。

あと、ときどき自力で排尿するようになったので、浅いトレイに猫砂を敷いてトイレにしてみたものの、まだそこでするにはいたらず。この辺もどのレベルを狙ってしつけたらいいのか、加減がわからんところ。でもまぁ、そういいつつもちゃんと育ってるんだからたいしたものである。

Tags: gustav

2010-09-16(木)

セッションの「適切な制限時間」というものはあるのだろうか?

先月公示になった新しいWebアクセシビリティに関するJIS X8341-3には「調整可能な制限時間」という達成基準があって(JISは非公開なので互換性のあるWGAC2.0 Understandingの邦訳を貼っておく)、非常におおざっぱにまとめると:

制限時間のあるコンテンツでは、

  • 利用者が制限を解除できるか
  • もしくは10倍に延長できるか
  • さもなくば最初から20時間以上に設定

せよ。

というものだ*1

制限時間つき入力フォームを持つようなWebサイトが、これを受けてJIS適合を目指そうと思ったら、制限解除ないし延長の仕組みを作らなければならない。20時間なんて長すぎてセキュリティ的に論外だ。なんだか不条理な基準だよなぁ。

……と思っていたのだが、よくよく考えると、そもそもいま設けている制限時間には、はたして明確な理由があるのだろうか。いろいろ調べてみても、セッション・ハイジャックを防止するためにセッションの持続時間は適切な長さにしましょうという記述は見かけても、「適切」について述べられた資料は見つけられなかった。セッションID生成にまともなハッシュ関数を使っていればブルートフォースアタックの危険は考えなくていいし(少なくとも20時間あれば十分だ)、その他のアタックに対しては時間よりも別の要因の方が大きいだろう。

Twitterでこの疑問を漏らしてみたけど、反応はいっさいなかったので(followerにはWeb業界人が多いはずなのだが)、おそらくみんな「適切」じゃなくて「適当」に決めてるんじゃないかなーと思う。だったら、JIS適合しようとするならプログラムや設定ファイルに書かれている「1」(時間)を単純に「20」に書き換えるだけで対応完了じゃん。それで何か問題ある?*2

上記はフォームへの入力のような場面を想定したものだけど、他にもWeb上における制限時間的なものといえばログイン・セッションもやはり不可解なものが多い。一定時間ログインしないと切れるというのがメジャーな方式だが、他にもセッション数を制限したり(ニコ動は1セッション*3、Wassrは3セッション?)色々あるが、その制限にちゃんとした根拠があるのかなぁ、といつも不思議に思う。

一方でAmazonやTwitterのようにひとたびログインすればずっとセッションが維持されるサービスもあって、こういうところは大事なとき(商品の購入や個人情報の参照・変更)だけ再度パスワードの入力を求められる。個人的にはこの方式の方が他に比べてユーザビリティも高く、おまけにフィッシングの危険性も低下するのでセキュリティ的にもいいと思うんだけど。なんでいつまでも安直な制限時間方式が蔓延してるんだろうね。

Tags: a11y

*1 言うまでもないが、オークションやオンライン試験のような制限時間そのものに意味がある場合は除外されている。

*2 じゃあ「20時間」はどこから出てきたんだという新たなツッコミは出てくるけどね。

*3 これはセキュリティというよりは帯域制限が目的だと思うけど、複数アカウントを取れば回避できるのであんまり意味がないと思う。

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]

yasuyuki [> 複数アカウントを取れば回避できるのであんまり意味がない 無料アカウントならそのとおりなのですが、プレミアムアカウ..]

shiro [ログインセッションならアカウント数で上限が決まりますが、トランジェントなセッション (e.g. ログイン無しでステー..]

ただただし [> yasuyuki セッション制限ってプレミアム導入してからだっけ? いずれにしてもその懸念は他の有料サービスにも..]

hb [一般的なWebサイトではなくイントラの業務システムでの経験なので,ちょっとずれてコメントかもしれませんが,セッション..]

ただただし [ミドルウェアのデフォルト値! それは実にありそうですw ちなみにアクセシビリティにイントラかどうかは(本質的には)無..]


2011-09-16(金)

オライリーは電子書籍と一緒に「安心」を売っている

(書いてあったのに公開するのを忘れていたことに気づいた9/19公開)

今日、IDEA*IDEAのAndroidマーケットでオライリー本がすごく安いといった記事が流れていて、それはまぁいいんだけど(英語の話だし)、ちょっと見過ごせない言葉が:

↑ さらにExportもできるだと・・・。これを使えば好きなリーダー使うことができますね(しかしグレーな機能だな、これ・・・)。

1冊1冊が独立したAndroidアプリになっていて、EPUBファイルをエクスポートできるという機能のところなんだけど、「グレー」ってなんやねん。Tim O'Reillyインタビューを読めばわかるが、オライリーの電子書籍にDRMは使われないし、TimのスタンスからしてEPUBエクスポートなんてむしろできて当然の機能なんだけど。

オライリーはこういうところに本当に心を砕いているなぁというか、紙の書籍から電子書籍に移行するにあたって、紙のポータビリティを可能な限り満たそうとしてるように感じるんだよね。現在、もっとも「寿命」の長そうな電子書籍フォーマットはEPUBだと思うけど、これにDRMがかけないということは、仮にオライリーが潰れても、そしてEPUBビューアが存在しなくなっても、コンピュータさえあれば読むことができる*1。「目」さえあれば読むことができる紙の本に肉薄しようと思ったら、DRMフリーのEPUB、これしか選択肢はない(次点はPDF)。

データさえ手元にあれば、将来に渡って読み返すことができる。それも誰に制限されることなく。本を買う側にとって、これがどれだけ安心できることか、説明不要だろう。オライリーの電子書籍を買うという行為には、この「安心感」が付いてくる。値段なんかより、このことの方がよっぽど重要だ。

ひるがえって日本では、「ガラパゴス」進化せず シャープ、9月末で販売終了 「iPad」に対抗できずというニュースが流れてちょっとした騒ぎになったりする。冷静に考えれば、他社を巻き込んで拡大路線にあるGALAPAGOS「サービス」がそう簡単に終わるわけがないわけで、これは単にGALAPAGOS「専用端末」の販売終了というニュースにすぎないとわかる。だが、(記事のタイトルがあからさまなミスリードとはいえ)市場の反応はそうではなかった。おかげで慌ててシャープ担当役員、「GALAPAGOSは決して撤退しない」と釈明する始末。

こんな反応をされてしまうのも、採算がとれなくなったらすぐに撤退するんじゃないかという疑いを持たれているからであって、それを払拭する努力もしなければ、仮に撤退しても買った本が確実に読めるという保証もしてくれないからだ。特定の端末でしか読めない本なんて怖くて買えないし、ましてやその継続性に疑問があったら手を出す気にもなれない。なにしろシャープは既存のSpace Townを閉鎖してGALAPAGOSへ誘導するなど、囲い込みに懸命なのがミエミエで、今後閲覧環境が拡大するとは信じられないわけで、今回の市場の反応はその「不安」がみごとに現れていたと思う。

もうちょっとオライリーの考え方を見習ってくれないと、国内のサービスから電子書籍を買いたいとは思えないんだよねぇ*2


とはいえ、こういう文句を言うのは、年間数十万円以上を本代につぎ込み、家の床が抜けるほど本を溜め込むようなタイプの人々だけかも知れない。そしていま、電子書籍に乗り出そうとしている日本の企業が相手にしているのは、そういう人たちではない、という仮説も成立する。

ではどういう人たちを想定顧客にしているのかというと、本を単なる消費財として考えている人たちだ。読み終えた本を家に置かずにすぐさま捨てたり、ブックオフに売り払ったりする人たちがいる。音質が悪くても、機種変したら消えてしまうことがわかっていても、ネットからDRMガチガチの音楽データを買うような人たちも、この国には大勢いる。彼らなら、いま各社が進めている「囲い込み型の電子書店」でも本を買ってくれるかも知れない。

もしそうだとすれば、そしてiTunes PlusやAmazon MP3にいつまでたっても国内レーベルの音楽が増えないという現状から推論すれば、オライリーのような理想的な電子書籍を日本では決して買うことができないということにもなるのかも知れない。悲しいことだが、仮にそれで市場が成立してしまえば、そういうことになるだろう。

そういう意味で、出版デジタル機構には少しだけ期待している。というのも、この組織が国立国会図書館の長尾館長の構想を受けてのものだと理解しているからなんだけど。と、OnDeck 007号を読んでそう思ったのであった。

Tags: ebook

*1 なにしろEPUBは最悪でも中見のHTMLを取り出して読むことができる。

*2 もちろん例外もあり、オライリージャパン、オーム社、技術評論社、それからもちろん達人出版会は将来に渡って読めるフォーマットの電子書籍を販売してくれている。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

ただただし [*2の情報は完全ではない。確認していないが、インプレス、パブーもDRMフリーではないかと思われる。]

向井 [新書や小説はそういう読者も多いと思いますが、技術書は必ずしもそうでもない、といったところがこうした違いを生んでいるの..]

ただただし [その仮説はよく目にするけど、実証されてた試しがないのであんまり信じてないというか。身の回りで技術書溜め込む人は小説も..]

向井 [そうですね。海外だとfictionwiseも頑張っているのは知っていたし、本当のところはよくわかりません。]


2012-09-16(日)

なければ作る。Wassrの代わりになる「Massr」開発中

先月発表になったWassr閉鎖。その後、代替サービスを探していくつものSNSを試用したもののどれもしっくりとせず、こうなったら自分たちで作るしかあるめぇよ、ということに。

とはいえ本格的なSNSが欲しいわけではない。主として鍵付きユーザで構成される我々の使い方は、端的に言えば「クローズドな掲示板」なわけで、そこにWassr風のイイネ機能がついていればよい(ただしイイネは最重要機能である)。

話がそんな流れになったので、とりあえずGitHubにリポジトリを作り(名前はMini Wassrの意味で「Massr」)、WikiでAPIやDBの設計をざっくりと書いておいたら……

[スクリーンショット]Massr (開発中)

なんだかんだでコードやらパッチやらドキュメントやら、あとマスコットキャラまで集まって、そこそこ動く状態に。FOSSって、多くのばあい個人プロジェクトとして始まって、あるていど出来上がったところで公開されてからプロジェクト化するのが基本だけど、何もないところからいきなりプロジェクトにしちゃってもなんとかなるんだな。まぁ今回、メインプログラマは実質的にえちょさん1人なので混乱が少なかったというのもあるし。おれも(ようやく)Twitter Bootstrapの勉強ができてよかった。

Wassr閉鎖まであと半月を切ってしまったが、これでようやく受け皿ができそうだ。

Tags: wassr massr

2013-09-16(月)

伊豆天城の「あせび野」に泊まってきた(1)

[写真]あせび野

ちょっと遅い夏休みをとって、伊豆天城にあるあせび野という宿に泊まってきた*1。部屋風呂源泉かけ流しといういまどきのスタンダードなのはもちろんながら、しっかりしたモダンな建物で清潔感があり、いい宿だった。複数ある温泉がどこもいい感じのぬる湯で、いくらでも浸かっていられるのもいい。

[写真]猫越川

離れにある貸し切り風呂は、そばを流れる猫越川(ねっこがわ。いい名前!)の川面近くまで階段を下ったところにあって、今日の昼まで猛威をふるって京都を水没させた台風の影響で濁流になっていて、ちょっとしたアトラクション的な? 上の写真は翌日に撮ったので濁りはなくなっていたけど。

[写真]黒毛和牛ヒレ肉

食事は部屋ではないので当初は残念に思っていたのだけど、ありがちな「食堂」ではなく完全個室ですぐそばの厨房から熱い料理が運ばれてくるので、これはむしろ部屋食よりもいいかも。料理もどれも美味しかった。

[写真]部屋に付属のタブレット端末

面白い趣向として、各部屋にタブレット端末が装備してあって、専用アプリで貸切風呂の予約や土産の申し込み、館内見取り図の確認などができて便利。……なんだけど、肝心のアプリのレスポンスが非常に悪くてUXとして上等とは言いがたいのが残念なところ。あんな紙芝居程度のアプリであの程度のレスポンスしか出せないのは開発会社に問題があると思うので、作りなおさせたほうがいいと思うね。あと、タブレット端末がつながっている館内WiFiはパスワードがかかってないので客も自由に使えるけど、その案内がどこにもなかったのも残念ポイントか。

Tags: travel

*1 と、ここでWebサイトにリンクしたいところだが今どきフルFlashでどうしようもないのでリンクしない。ググってください(笑)。


2014-09-16(火)

「ログ・ホライズン」を読んだ

アニメの二期も始まるそうでタイトルだけは聞いたことがあった「ログ・ホライズン」、作者が「まおゆう」と同じ橙乃ままれというのもつい最近知ったばかりなのだけど、こっちもWebサイト(小説家になろう!)上で連載していると聞いて、じゃあ読んでみようかと。

例によってサクっとスクレイピングしてKindle向けPDFにしたら、なんか「まおゆう」をはるかに越えて3000ページオーバーしてるんですけど……*1。おまけに読み終えてから気づいたんだけど、まだ連載中だし。もう終わってるんだと思ってた(笑)。

とはいえたいへん面白かったので、分量が気にならないくらいにハイペースで読み終えたのだけど。はやく続きが読みたい。

基本的に「剣と魔法の中世世界に現代の文化や技術を持ち込んだらどうなるか」という「まおゆう」と同じアイデアの小説で、一種のタイムスリップもののSFだととらえられるから、たとえば「戦国自衛隊」のバリエーションであるし、〈大地人〉vs〈冒険者〉という構図は一種のミュータントものとも読める。そういう意味では決して目新しいスタイルの作品ではないから「安心してお読みいただけるラノベ」のフォーマットだ。

ストーリーも突飛ではないし(親切な伏線が張り巡らされているのでちゃんと読めば展開はわかる)、登場人物たちもおおむねステレオタイプだ。って、さっきからあんまり褒めてる感じがしないな(笑)。気に入ってるのはディテールなんだよね。ちょっとした小道具とか。たとえば舞踏会で最初に流れる音楽とかさ(これが最新章につながる伏線でもある)。そういう世界の描写や人物の心情をこのボリュームで丹念に描いているから、ゲーム内世界なのにすごくリアリティがあるし、オンラインゲームを遊んで遊んで遊び倒した経験のあるような読者にはこの設定がすごく胸に迫る(←おまえがやってたのはFPSだろうが)。

ただ「まおゆう」と同じで、スピード感のあるパートにくると書き飛ばしがひどくてやたら誤字が増えるし、そもそもあまり推敲をしない人みたいで文章が雑なのがつらいのよなぁ。漢字が多すぎて素人くさいし。文章を吟味しながら読むのは疲れるので、結果的にストーリーを追うだけの読み飛ばしモードになってしまい、なんだかちょっともったいない。ちゃんとした編集者がつけばこういうところは直されると思うのだけど、単行本はどんな感じなのかしらね。

ログ・ホライズン (1) 異世界のはじまり
橙乃 ままれ
KADOKAWA/エンターブレイン
¥1,100

Tags: book

*1 単行本で8分冊っぽい。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

こ~りん [記事とは関係ないのですが、右の「サイト内検索」って機能しています? tDiaryとかで検索しても、何もヒットしません..]

ただただし [すでに別の人からも指摘されてるんですが、ただいま絶賛不具合中です(^^;]

こ~りん [そういえば、前にそんなやりとりを見たような気が Google カスタム検索 https://www.google...]

ただただし [あれもなかなか制限があって。BING検索のを使えばいいんだけど、その前にtDiaryやらRubyやらを最新版にしなけ..]


2015-09-16(水)

「共感ボタン」だって? そんなの3年前に実装済みだよ

なんか炎上目当てっぽいタイトルにw

や、今朝からFacebookが「Dislikeボタンを(ついに)実装する」という噂が流れて「なんか下品だねぇ」と思っていたら、そうじゃなくて共感ボタンを作ってるということらしい。なぁんだ。

というかですね、読者が共感を覚えたときに押したくなるボタンなんて、おれらが3年も前にmassrで実装済みだよ→証拠(えちょさんによる最初のコミット。その後アイコンなどの追加が行われる)。何周遅れだ、Facebook。

[スクリーンショット]わかるわボタンの実装例

この「わかるわ」の汎用性はハンパなくてさ、

  • 喜びのポストに、ともに喜びつつ「わかるわ」
  • 怒りのポストに、油をそそぐつもりで「わかるわ」
  • 哀しみのポストに、同情をこめて「わかるわ」
  • 楽しいポストに、テンションあげつつ「わかるわ」

と、あらゆる感情にこれひとつで対応できる。なんてすばらしい。最強と言っても過言ではない。Facebookが共感ボタンにどんなラベルをつけるつもりかわからないけど、日本語訳にはぜひとも「わかるわ」を使ってもらいたい。

それから忘れちゃいけない、kwsmさんに心からのリスペクトを


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